園長あいさつ

 1905年(明治38年)の秋田幼稚園の創立前に、ひとつの物語がありました。アメリカから秋田に来たガルスト宣教師達は、栄養不良の子ども達を見てミルクを与えようと乳牛を飼い、その飼料として東北で初めてクローバーを植えました。その後に続くニーナ・スチーブンス宣教師夫人が秋田で最初に始めた幼稚園が秋田幼稚園です。秋田のクローバーと秋田幼稚園のルーツは同じ、戦時中に命がけで伝道に来た宣教師達なのです。今も園庭にクローバーの咲く秋田幼稚園には、たくさんのお客様がいらっしゃいます。ピカピカのランドセルを背負った1年生から、進学が決まった高校生、子どもを抱いたお父さん、お母さん。いただきものをしたので、とお裾分けをお持ちくださる方。みんな秋田幼稚園の卒園生です。秋田幼稚園は、卒園生が実家のようにいつでも帰ることのできる、心の拠り所として歴史を引き継いできました。

 聖書には、「いつまでも残るものは信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です」(第1コリント 13章13節)と書かれています。人を生かすのは愛です。困難に出会った時に再び立ち上がる力の源も、愛と、愛されている実感から生まれる自己肯定感であると考えます。秋田幼稚園に通う子ども達が、ご家族や保育者の愛情、そして永遠に変わることのない神の愛によって「自分はかけがえのない大切な存在である」と知り、遊びの中で命を輝かせながら人生の土台を築き、自分らしく歩んで行って欲しいと願っています。我々保育者もまた、大きな神の愛と、先駆者達が子ども達を命がけで育もうとした精神とに支えられながら、これからも子ども達一人ひとりの心を育む使命を担っていきたいと思います。

                                             園長 小山悦子